自由研究

「自由が何か知らなきゃ手に入らないので自由研究してます。」              自由研究という目的のために話題を取り上げているため記事単体で読んでもよくわからない時がある 記事によって後日追記したり添削しているときがある

ジェンダー・スキーマ ピンクは女性らしい色という認識がされるまで

序論 ピンクは女性らしい色という認識

 このレポートでは、ピンクは女性らしい色というジェンダースキーマが社会的に確立するのはどのような媒体の影響なのか考察する。第一節では、このジェンダースキーマの確立は身近な女性の影響なのか考察する。第二節では、幼児の色彩選好とメディアの関係について述べる。


本論 ピンクは女性を代表する色なのか


第一節 女性とピンク色

 ピンクが女性らしい色というジェンダースキーマを確立するためには、女性の方が男性よりピンクを好む必要がある。また、女性の多くがピンクを身に着ける必要がある。そうしなければ、このジェンダースキーマを社会的に確立しにくいと考える。


 初めに、女性がピンクを男性より好きなのか比較すると、色彩データベースによると女性67960人中、好きな色18位中1位は支持率が14.32%で桃色/ピンクだった。¹ここからピンクは女性の多くが好きな色という位置にづけに最も近い色であるといえる。一方で男性27000人中、ピンクの順位は18位中9位で3.78%の支持率であった。²興味深いことに女性の嫌いな色1位は、嫌いな色なしを含めなければ9.59%がピンクと回答している。³同じく男性の嫌いな色1位も、嫌いな色なしを含めなければ10.40%でピンクである。⁴女性も男性と同じくらいピンクが嫌いである。


 第一節の冒頭で述べたように、ピンクは女性らしい色というジェンダースキーマを社会的に確立するには女性がピンクを身に着けている必要がある。しかし、好きな色と着たい服の色が同じではないことが日本人大学生を対象とした調査で分かっており、1095人の女性に絞って調査結果を見ると、「好きな色」と「着たい色」の一致率50%以上の色にピンクもピンク系の色も入っていない。加えて、「好きな色」と「よく着る色」の一致率、「着たい色」と「よく着る色」の一致率も同様に一致率が50%以上の色にピンク・ピンク系の色は含まれていなかった。⁵ここから、大学生という服装の自由度が高い女性でもピンク色の服よりも着ている色があり、女性の着ている色からピンクは女性らしい色というジェンダースキーマを社会的に確立したとは考えにくい。

 

第二節 子どもとピンク色とメディアの関係

 ピンク色には、親のみならず幼児の段階から既に「女の子らしい色」という概念がもたれている。(清水陵子:2013)⁶幼児の段階でこのジェンダースキーマが確立されているとなると、どのメディアがこのスキーマを幼児に植え付けているのか予測しやすい。「乳幼児が1週間にメディアに接する頻度は、テレビ番組は1歳で91.0%、ビデオ・DVD は3歳で 47.5% が「ほとんど毎日」だった。」⁷ということから、幼児はテ
レビ番組の影響を大きく受けていると考えられる。主に子どもは子ども向け番組を見やすく、また親が見せやすいため子ども向け番組がこのスキーマを確立している可能性が高い。30年以上テレビで放送している「スーパー戦隊シリーズ」という男児を対象としたメディアでは機密戦隊ゴーレンジャーから炎神戦隊ゴーレンジャーの32作品中22作品で女性にピンク色が割り当てられていた。⁸また、女児向けのテレビアニメであるプリキュアシリーズではメイン主人公格にピンク色が割り当てられている。別紙の写真家ユン・ジョンミの写真を見るとわかるように、女児たちはメディアの影響を受けピンクを選好し、さらに多くの女児がピンクを選好することによって、女児自身でピンクは女児らしい色というメッセージを発信するメディアと化していると考えられる。

 

結論 メディア化した女児たち

 本論で述べたように、ピンクは女性らしい色というジェンダースキーマは幅広い年齢層の女性と着ている服をもとに形成されたものではないといえる。女児がメディアの影響を受けピンクを選好し、その結果自らがピンクは女の子らしいというメッセージを発するメディアと化していると考えられる。女児がピンクを選好するため、女児をターゲットにした商品開発の際にピンクを積極的に取り入れているという、ある種の循環が生まれ女児とメディアがこのスキーマを相互補完している可能性が高いという結論に至った。
 しかし、このスキーマを確立するにあたって女児がピンクを選好したのが先かメディアが先かは言及できていない。ピンクは女の子らしい色という低年齢層のみを対象としたスキーマとして社会的に確立されているのではなく、幅広い年齢層の女性も対象になっていることは考える余地が残っている。また、ピンクが女性らしい色になった経緯は文字数の制限上触れられなかった。参照している論文の作成年数がバラバラなこともあり因果関係があるかどうかは今後の課題とする。

 

注意:メッセージ性があればなんでもメディアになるという考え方に基づいて女児の過度なピンク選好が女児をメディアたらしめていると述べている

 

参考引用文献

1 色カラー, 「色の嗜好を調査しよう!色彩データベース」(最新版更新日:2020年6月21日),(取得2020年7月26日19時52分, https://iro-color.com/questionnaire/data.php ),検索条件(好きな色/女性/全年齢/すべての都道府県/全ての年・全ての月).
2 同上, 検索条件(好きな色/男性/全年齢/全ての都道府県/全ての年・全ての月),取得2020年7月26日20時01分.
3 同上, 検索条件(嫌いな色/女性/全年齢/全ての都道府県/全ての年・全ての月),取得2020年7月26日20時01分.
4 同上, 検索条件(嫌いな色/男性/全年齢/全ての都道府県/全ての年・全ての月),取得2020年7月26日20時10分.
5 松田博子・名取和幸・破田野智美, 2019, 「色の好みとパーソナリティとの関係―色の感情的意味からの考察―」『日本色彩学会誌』,43(2):69‐80, 72頁.
6 清水陵子,2003,「幼児の色彩選好と親のジェンダー意識―ピンク色彩選好にみられるジェンダースキーマ―」『早稲田大学大学院教育学研究科紀要』,別冊(11-1):87-95,94頁.
7 田村徳子, 2013, 「第1章 乳幼児のメディア利用の実態 第2節 子どもの1週間のメディア活用状況」『乳幼児の親子のメディア活用調査 報告書 [2013年]』,ベネッセ教育総合研究所ホームページ, (2020年7月29日19時17分取得,https://berd.benesse.jp/up_images/textarea/data_01_02.pdf), 1頁.
8 葛城浩一,2008,「ジェンダー的要素はどう描写されてきたのかー「スーパー戦隊シリーズ」を事例としてー」『子供社会研究』(14):3-16, 10頁(表3.女性の立ち位置と名前の順番、色、着衣).

 

別紙の写真家ユン・ジョンミの写真のリンク

JeongMee Yoon, 「The Pink & Blue Project」,(2020年7月30日15時35分取得, http://www.jeongmeeyoon.com/aw_pinkblue.htm).