自由研究

「自由が何か知らなきゃ手に入らないので自由研究してます。」              自由研究という目的のために話題を取り上げているため記事単体で読んでもよくわからない時がある 記事によって後日追記したり添削しているときがある

雑談 〜貿易の指針、リカードの比較生産費説〜

 国際経済学で習うリカードの比較生産費説は現代の貿易を鑑みる上で欠かせない理論である。まず、この理論を説明してから本題に入りたい。

 リカードの比較生産費説とは、極端に言ってしまえば各国、自国が生産に最も特化した財の生産に集中すると世界全体が豊かになるよという理論である。

【例】

世界にはA国とB国の二カ国、布とワインの二つの商品のみがある。

A国がワインを作るために必要な労働力は90人、布をつくために必要な労働力は100人である。

B国がワイン1本を作るために必要な労働力は90人、布を作るために必要なは労働力は80人である。

このまま両国が生産したら、ワイン2本、布2枚ができる。

リカードの比較生産費説の比較優位に基づいて生産特化したとする。

A国は布を作るのをやめ190人でワインを作ることにした。

B国はワインを作るのをやめ170人布を作ることにした。

生産特化により同じ人数でワイン2.111本、布2.125枚できた。よって、世界の生産物は増加し豊かになった。

 リカードの比較生産費説とは、極端に言ってしまえば各国が生産に最も特化した財の生産に集中すると世界全体が豊かになるよという理論である。

 

【本題】

 リカードの比較生産費説はTPPなど貿易に活かされている。オーストラリアや乳製品を売ってくるときは、「日本は他の産業に力を入れて、うちの乳を買い取ってください」とイメージすると良い。

 ただ、この比較生産費説という無条件に歓迎できる万能な理論ではない。発展途上国と先進国の間での貿易から考えてみよう。

 発展途上国における輸出品は主に食料や原材料といった一次産品である。一次産品の性質は、食べ物とかなので保存期間が短い、食べ物だとしたらいきなり胃袋が大きくならない限り需要に限界がある。値段は供給量に大変左右される。もし仮に、発展途上国各国が砂糖作りに精を出したら砂糖の値段は下がる。また、価格は安い。そのため、従事者の給料も安い。

 先進国における輸出品は車やパソコンといった工業製品である。工業製品は確か二次産品なはず。工業製品の性質は腐らないので売れなくても保管可能、欲しいという欲求さえあればたくさん買ってもらえる。値段は供給量に左右されるが砂糖ほどではなく、価格弾力性がある。価格は高い。そのため、従事者の給料は高い傾向にある。

 比較生産費説にのっとれば、比較優位で発展途上国は砂糖を、日本は車の生産を続けてください、という話になる。発展途上国が売り上げが伸び悩む砂糖を作り続けて、給与が出ても、給料は安いので貧しいままである。貧しいとスラム街が登場し、発展し、ストリートチルドレンが増加する。

 これを打開するために一次産品を買い叩くのをやめフェアトレードを推し進めようという動きがある。フェアトレードは確かに良い方法だ。ただ、リカードの比較生産費説を指針とるかも考え直した方がよさそうだ。なぜなら、比較優位は言い換えれば格差だから。格差は発展途上国の外貨獲得を難しくさせる。彼らは世界銀行に債務がある。それを返すためには、外貨獲得をしなければならない。それは格差(通貨レートが自国安、ドル高)が広がれば広がるほど困難になる。

 

 国際経済学リカードの比較生産費説をすれば世界は豊かになると教えられたが、私としてはそうとは言えない。

 

 経済理論にとやかく言っても仕方がないが、リカードの比較生産費説というのは、貿易に差し支えないほどの世界平和が実現されているときに限る。また、昔は中継貿易で栄えた国があるほど、流通にかかる金は無視できないほどに大きい。そう考えると案外、EUリカードの比較生産説を実現しているのではなかろうか。ただ、低賃金の国から高賃金の国へと人々は移動することを考えると移民がやってくる。そうなってくると、低賃金の国は人で不足となり、高賃金の国の低賃金労働者は移民が低賃金でも働くことから給料があがりにくくなったり、移民排斥を起こし始める。

 理論というのは、理論であるため様々な要素を度外ししてつくりあげられるが、リカードの比較生産費説はかなり穴がある。

 

追記:今度この記事を発展させて農業におけるモノカルチャーの記事を載せたいと思っています。お楽しみに。